群青の空を越えて (その参)

 完全攻略完了。
 良作。架空戦記モノという、砂上の楼閣でありながら、終始地に足の着いた重厚感のあるシナリオは圧巻。ご都合主義とはほぼ無縁の作品で、シナリオによっては主要登場人物の大半が戦死する、という現実的極まりない『戦争』を描いている。
 全ヒロイン攻略後に現れる、Grandルートでは今まで背景に徹していた『円経済圏理論』が取り上げられ、統括シナリオに相応しい新たな展開と、『戦争の意義』を問う、明確なテーマが示されている。だがそれだけに、最後の最後での尻切れトンボが惜しい。エピローグは欲しかった。
 若菜シナリオでの『君のためには死ねない』は名台詞。加奈子シナリオは最も『戦争』をしていたシナリオ。美樹さんは自分のシナリオ以外のシナリオだと、過去から解放されることなく、むしろ囚われ続けているので、見ているこちらが辛くなってくるな。貴子さんの攻略はできないと知り意気消沈していたものの、Grandルートが曖昧ながらも貴子シナリオともとれる内容だったので持ち直す。