家族計画――心の絆―― PS2  90点

再プレイ終了。
やはり面白い。
「家族」の大切さを改めて実感させてくれる作品。
「奇跡」やら「死」やらを扱わないでここまで人を感動させるシナリオライターさんの腕に感服。
世間様で「ハートフルラヴコメディの名作」と言われるわけです。
ギャグの冴えもピカ一。
寛と司の掛け合いは大爆笑でした。


では、キャラ別感想を。



長男。主人公。
親に捨てられた過去(勘違いなんですけどね)を持っているせいで排他的な性格です。
でも本当はお人好しで優しい性格。
「家族計画」の中では唯一まともな人なんじゃないかと。……その分苦労しますが。
各シナリオで、刺されたり、撃たれたり、生き埋めになったり、と生傷の絶えない不幸キャラであったりもします。

青葉
長女。毒舌キャラ。
とんでもない毒舌です。
人に向かって、「蛆虫」とか「豚」とか易々と言ってのけます。あと、冷徹なまでに「家族」を拒絶しています。
個別シナリオはかなり秀逸ではないかと。
二度、三度のどんでん返しがいいです。他のシナリオでは途中退場するカラスもいい役割を果たしています。エピローグで安易に全員集合で終わらないのもGood。
他シナリオでのネタバレ度が高いので最初にプレイすることをオススメします。

ちなみに、長柄木一番のお気に入りキャラ。


次女。守銭奴
金銭への執着心は凄いですね。……というか、金銭での繋がりでしか他人と関われないところがあるようです。「家族計画」にも契約で参加しています。
まあ、止むを得ない理由があるので仕方がありませんが。
あと、食事が摂れず、栄養食だけで生活しています。
司の高校時代の「元」彼女でもあります。
その辺りで恋愛要素を使い切ったためか個別シナリオでの恋愛色は低いです。……というか、シナリオの大半に、準自体が出てこないという異色のシナリオです。
準シナリオのメインはエピローグでしょう。
準が拒食を克服してオムライスを食べるシーンは感涙ものです。

このシナリオで忘れてはならないのが準の双子の妹、景ですね。この人のおかげで、感動も際立ちます。

長柄木としては、高校時代のポニーテイルがッ。


春花
三女。中国人。
一応、メインヒロイン?
天然能天気キャラ。
まあ、こういうキャラは総じて裏があるものですが、春花の場合もその例に違わずでした。山名家の人々はなんというか、生々しい、と感じてしまいます。正体を無理に明らかにしなかったのは、高評価。
このシナリオで忘れてはいけないのが、劉さんでしょう。彼の裏の顔が垣間見えます。
その他にも他シナリオで仄めかしていた謎が明らかにされるので、最後辺りでプレイするのがオススメです。

あとこの娘、意外に頭がいいです。日本語を吸収する早さが半端ない。

末莉
四女。ロリ。
不幸少女。
どうみても中○生でしょう。まあ、PS2版ではその辺りは問題ありませんが。このシナリオでは、司がロリコンへと変貌していく過程が描かれてます(笑)
末莉の親戚は本当に反吐が出るほど、腐った人間ですね。でもああいう大人はざらにいるんだと思ってしまいます。
終盤での同棲生活はそこはかとなくエロいです。勿論、直接的描写はありませんが。
高屋敷家再建計画は良い。10年後の再会はそれこそ、家族の「絆」を思わせてくれます。

青葉も言っていましたが、彼女のような娘こそが「魔性の女」なんでしょうね。

真純
母。30歳。
他人への依存性が高い。
んー、なんていうんでしょうか。シナリオ自体はそれほど悪いというわけではないのですが、一番印象が薄い。他のキャラに比べて個性が薄いせいでしょうね。
それでも、魅せるところは魅せてます。昔の男を吹っ切るシーンは中々爽快です。

弁解というわけではないですが、決して捨てキャラではないですよ。


準の双子の妹。
PS2版での追加シナリオ。
ギャグシナリオですね。キャラの壊れ具合が凄まじい。大爆笑です。
高屋敷家の抱える問題がほんの数行で片付けられてしまいます。……催眠術で解決って(笑)
このシナリオは、青葉シナリオで末莉の言っていた「真・家族計画」に対していうならば、「新・家族計画」といったところでしょう。
集まるメンツもいい意味で予想外でした。山名家の人々の壊れっぷりは壮絶です。一瞬、別の人達かと思ってしまいましたよ。
トンネル効果云々も許容できる範囲。というか、微妙にメタが入ってますよ。
ただ、ギャグシナリオとはいえ、締めるところはしっかり締めていて、純粋に楽しめます。山田一自身が書いただけのことはあります。

……何だか、景自身の紹介できてないですね(汗)


父。元企業戦士。
最強のボケキャラ。
非常に強烈です。この人が「家族計画」のギャグを一身に担っているといっていいでしょう。兎も角エキセントリック。声優さんの声もぴったり。
どんな状況下でもギャグを忘れない、その精神は素晴らし過ぎます。青葉シナリオでのみ語られる、アブクンフーのその後の成果は大爆笑でした。
また、何を考えているのか分からない不気味なキャラでもあります。

クリア後に追加される声優さんのコメントで、「ラストで寛が狂気になっていく様子」というのが分かりません。そんなシーンありましたか?


以上で、キャラ別感想はおしまいです。
他にも、劉さんとかの感想を書こうかと思いましたが、長くなりそうなので(汗)

「家族計画」の良さは、ヒロイン達が他シナリオでも、適度に活躍しているところにあると思います。末莉シナリオで、末莉や司を庇う青葉には惚れてしまいそうですよ。

ギャルゲーでは異色の、老若男女にオススメできそうな、貴重な作品でした。
こんな素晴らしいシナリオを執筆した山田一氏に感謝します。